ゲンジボタル コウチュウ目ホタル科 英名Genji firefly 学名 Luciola cruciata 日本固有種。
分布域:本州、四国、九州と周囲の島々など
- 大きさ12mmから18mm。オスよりメスのほうが大きい。日本を代表するホタル
- メスが生む卵の数は約500個から1000個。成虫の寿命は1から2週間。
- ヘイケボタルよりきれいな水を好む
- ゲンジボタルとヘイケボタルヒメボタルの見分け方
- ゲンジボタルは背中の赤い部分の中が黒く、上から見ると十字のようになっている。*なっていないものもある。キューピッドに矢で射られたハートマークに似ている場合もある。
- ヘイケボタルは背中の赤い部分の中の黒がうえから下まで縦に黒いラインが入っている。
- ヒメボタルは背中の赤い部分の中の黒が上から半円を描いている
ホタルの一生ホタルたちは交尾後、産卵後に死んでしまいます。水辺近くのコケなどに産み付けられた卵(直径約0,5mm)は約1か月で孵り(卵の色ははじめは白、それから徐々に黒っぽくなっていく)幼虫はその後、約10か月間の水中生活に入ります。水の中で越冬した幼虫たちは翌年、4月から5月、春になり2cmから3cmに成長した幼虫は雨の降る夜に、一斉に光ながら川岸に上陸します。その後、川岸の柔らかい土に地下3から5cmくらい潜ってから楕円形のくらいの繭を作り(2から3cm)中で蛹になり約2から3週間後に羽化。*オスから羽化し始めメスはその後一週間程経過後メスが羽化し始める。羽化後2,3日後で土繭を出て飛び回り、お互いのペアを探して交尾、産卵を行い一生を終えます。よく光る個体は未交尾の場合が多く交尾後や産卵後の個体は光が弱い傾向にあるようです。
*土が固く土繭を作れない場合、そのまま蛹になるものもある。ただし、適した湿度、外敵がいない場合に限る。
*水温が18℃位、気温は20℃位のあまり温度の差がないときに川から水面に出ていきます。
*川から上がってきた幼虫は、なんと10mも歩くこともあるそうです。
幼虫の生態卵から孵った幼虫は体調1,5mm程。夜中に羽化、夜行性。体の大きさあったカワニナを食べる。冬眠はせずに川底でじっとして春を待つ者もいれば活発にエサを食べるものもいるようです。冬を越して春になり水温が上がると活発になりエサをたくさん食べて大きくなる。脱皮回数は5から6回。生活場所はきれいな流れのある川。幼虫には鰓と気門がある。そのため水中でも陸の上でも行動ができる。幼虫は終齢(6齢)になるまでに10か月で5回脱皮をします。中には6回脱皮をするものもいます。成虫になるまでに2,3年掛かる場合もある。原因としては食事不足があげられる。
*脱皮したての幼虫を水から出してしまうとすぐに死んでしまうようです。注意ください。
餌
幼虫は体の大きさに合わせて大小のカワニナ(淡水生の巻貝)を食べます。成虫は夜露(水)しか口にしません。幼虫時代に蓄えた栄養で寿命が尽きるまで活動します。寿命は7から10日程。
餌はミミズなども食べることがあるようです。
食べ方は貝に頭を突っ込み消化液を出して溶かして啜る(すする)。です。
人間であれば オウェッて感じですがホタルでは普通です。人工飼育の場合にはエサのカワニナを砕いてから与えている場合もあるようですが、食べてくれるようではありますが、本来は自分の体のサイズに合った貝に頭を突っ込んで消化液が漏れ出さないように食べていくのですが、砕いてしまうと消化液と、消化した栄養も水中に散ってしまうためうまく栄養が取れずに大きくならないことや、弱ってしまうこともあるようです。
他にはゲンジボタルをミミズをエサに幼虫から蛹、成虫まで育てることに成功している報告もあります。どうやらゲンジボタルに限定されることらしいですが、ゲンジボタルはミミズをエサに人工飼育ができるようです。
モノアラガイなども食べてはくれるようですが、やはり本来のエサではないため大きくならないで弱って死んでしまうようです。やはり、ホタルの飼育にはカワニナを大量に繁殖する必要があるようです。
なぜ光るのか
夏に幻想的な光で日本人の心をつかんでいますが、実は成虫だけでなく、卵、幼虫も光ります。お尻に発行細胞(発光器)があり、ルシフェリン物質とルシフェラーゼ酵素がホタルの体内の酸素と化学反応を起こして光る。ホタルの光は熱を持たない光。実際に捕まえたとき暖かいとも熱いとも確かに感じませんでした。
発行器オスは2節、メスは1節
発光パターンは東日本と西日本とで違いがある。東日本は4秒に1回光り、西日本は2秒に1回程度強く光るようです。なぜかは解明されていない。*ゲンジボタルと名前は同じでも遺伝子レベルでみると別種といってもよいくらいの可能性もあり今後解明していく必要がある。
幼虫を区別する点は見つかっていないようです。
飛び方曲線的に飛ぶ。オスは発行しながら飛びます。メスはあまり飛ばずに葉の上などで光ながらオスを待ちます。
産卵場所成虫は昼間は草木などにつかまって休み、夜になるとパートナーを求めて飛び回ります。(飛んでいるのはほとんど雄)そこでオスとメスが出会い交尾をして子孫を残す。(交尾は夜、時間は数時間)産卵場所は川岸の木や石に生えたコケの中。
成虫幼虫の天敵
成虫はクモ類、沢蟹、キリギリス
幼虫は沢蟹、オニヤンマヤゴ、ヘビトンボの幼虫。あと人間
ホタル鑑賞、捕まえ方ホタルは日没後2時間後からよく活動を始める。葉の上や、茎などにつかまっているホタルを葉っぱごと、茎ごと切って虫かごに入れるなどしてください。小さな虫です。手でつかんでしまうとつぶしてしまう可能性もあるため優しく扱ってあげましょう。*注意点といたしましては、水辺など足場が悪い場所に夜に行きますので、足を滑らさないよう、落ちないよう、木の枝でけがをしないようです。深入りせずに安全な場所で楽しむようにしましょう。
他には、絶対に虫よけ厳禁です。ホタルは昆虫です。
強い光も避けてください。ホタルはお互いの光でコミュニケーションをとっています。本来は真っ暗な場所で光っている昆虫です。必要最低限の光にしてあげてください。捕りすぎに注意しましょう。沢山採集しても飼いきれません。私は2,3ペアで十分だと考えています。
ホタルの減少50年くらい前には筆者の実家の近くでもホタルがいて取りに行ったこともあるそうです。しかし、その後10年以内でその地域では絶滅してしまったようです。以前私が沢山のホタルを目撃した場所は岩手県の田園地帯でした。夜、車で走っていた時に飲み物を買おうと車を降りるとチカチカと周りが光っていました。近づいてよく見てみるとそこにはホタルが物凄く沢山光っていました。幻想的で感動したことを覚えています。その景色をもう一度見たいと思っていますが、その後は行く機会がなく見れていません。何とかホタルを育てたいと思い調べたことが今回の記事を書くきっかけになりました。今年の夏には見たいと思います。減少の原因としては、エサのカワニナの減少、水の汚れ川の護岸工事による生息地の減少などが考えられます。
豆知識ホタルは毒をもっている。そのためホタルの幼虫を食べて毒を取り込み毒を持つカエルになるものもいる。そのためホタルを真似て似た配色になる昆虫もいる程。幼虫の時には敵に襲われると臭いにおいを放って身を守ります。成虫は水しか飲まないため糞をしない。
放流問題(遺伝子汚染)鑑賞のためにと人為的に各地の夏のイベントなどで放流されているホタルたちによって遺伝子汚染が心配されている。本来の生息地でない場所に放されてしまうため、もともとそこに生息していたホタルと交配をしてしまい地域ごとの特徴を失ってしまう心配がされています。(ホタルだけでなく他の生物にも言えることです。魚類なども同じ問題を抱えています。)そのため現在は各地域ごとのホタルを放流するなど、その地域ごとの特徴を残すなどの取り組みも行われてきている。
保護地域生存するにはきれいな水が必要なため、その地域を守るため国の天然記念物に指定されている地域や他にも県、市町村で保護地域に指定されている場所もあります。
飼育の仕方*前もって虫かご、コケ、もしくは食器用スポンジ、霧吹き、水替え用の水、エアポンプ、エアチューブ、エアストーン、底砂、エサのカワニナ(1匹の幼虫が成虫になるまでに必要なカワニナの数は24個といわれています。)、隠れ家の石など準備しておいてください。落ち葉でもよい。風通しの良い場所で乾燥しないように注意しましょう。エサはミミズなども食べますがカワニナが一番良い。
採集したペアを産卵用のコケの入った虫かごに入れておけば卵を産んでくれます。
コケを乾燥させずに定期的に霧吹きをしながら経過観察をしましょう。
卵の管理に必要な機材虫かご、霧吹き
コケをブロックやお皿の上に載せてから上にしたまま水を3から5cm入れた入れ物の中に入れます。
エアーポンプをつけてエアーストーンを入れてください。*水しぶきが下からかかっているようにするため、そうすることにより卵から孵った幼虫が水に入っていく、それがないと幼虫が水を見つけられずに迷い死んでしまう。*傾斜を作る。傾斜を下ったところが水だと認識している。傾斜がない平らなところでは、周りをぐるぐると迷って徘徊したのちに死んでしまう。
羽化するときに必要な機材は平たいバケツ、水槽、桶、台になるもの、水、レンガ、お皿を裏返しにしたもの、エアポンプ、エアーストーン、エアチューブ
幼虫が水の中に入ってからブロックを取り出して飼育を開始しましょう。エサであるカワニナは常にあるよう心掛けましょう。水温は最高で28℃。それ以下を守ってください。
カワニナと共存しながらの飼育が理想的です。
水替えは毎日少しずつ、塩素を十分に抜いた水を使ってください。
飼育密度は低いほうが生存率が高いようです。カワニナの貝殻を捨てる際には、中に幼虫が入り込んでいないかようく確認してください。
終齢になっても十分な栄養が取れていない場合は上陸もしないし、蛹にもならない。
幼虫の飼育に必要なものはプラケースまたはタッパー、水槽、底面フィルターか水中ポンプ、水槽用クーラー、底面用砂、隠れるための石(ごつごつしたものを好むようです。)大小のカワニナ、水替え用ホース、水替え用の水(自然にカルキを抜いた水)*エサを食べると水が汚れてしまいます。毎日少しずつ水を換えてください。*夏の水温は28℃以下にしましょう。冬場はあまり心配はいりません。
産卵のさせ方虫かごの中に湿った水苔を敷いてオスとメスを入れておけば交尾後産卵します。
プラスチックケースでもよいが、風投資が悪いため注意が必要。カビが生えやすくなります。
水苔でなくても湿らせたガーゼ、スポンジでも代用できます。しかし、本当は水苔が良い。理由はスポンジ、ガーゼには羽化した幼虫が絡まって取れなくなり死んでしまうリスクがあります。
メスが産み付ける場所は、暗い場所に卵を産みます。コケの下側の暗い場所など
卵の管理卵を産んでからの管理。採集した後の管理。
日陰の風通しの良いところに置くこと。(*カビ防止、カビが生えていても卵は死んでしまわないが、羽化した際に幼虫に絡まったりして、移動の妨げになり、体力を消耗してしまい結果死んでしまうこ事がある。)霧吹きなどで湿り気も作ってあげる。直射日光は避けること。
羽化が近づいてきたら場所を移してあげましょう。
上陸東京地方は4月上旬から上陸する。(早ければ3月から上陸します。)上陸が近い幼虫は壁面を上ってきているため、すぐに見分けがつきます。きっかけは雨。雨が降らないと上陸しない。
人工飼育の場合、上陸は人為的に霧吹きやジョウロ雨を降らせてあげます。
*上陸のきっかけは雨だけでなく、気温、日照時間など様々な事が関わって始まるようです。
上陸後、土繭を作り蛹になりますが、使用する土は生息地の土がやはり適しています。しかし、なかなか用意することも難しいと思われます。ない場合、黒土、赤土、川砂、などを混ぜて使用してください。*使用上の注意点は殺菌を必ず行うことです。夏に天日干し乾燥させたものや、フライパンで炒って殺菌したものを使用ください。当然ですが、他には炭、枯れ葉なども混ぜ込みなるべく自然な形の土を作ってあげることが成功の秘訣なようです。
土は常に湿らせておく、他にも植物を植えたり、石や葉っぱを置いたりもよいと思います。*植物を植える場合、根が這って行きます。ある程度前もって準備に取り掛からなければいけません。理由は、根がホタルの繭を壊して、蛹を傷つけて死なせてしまう可能性があることです。前もって1,2か月前から準備しておきましょう。
幼虫から上陸後に必要な機材幼虫~蛹~成虫まで
水槽またはプラケース、その中に入るプラケースか、タッパー(2段構造にします。)イメージはオーバーフロー水槽です。*図を参照ください。荒木田土、他数種混ぜ合わせたもの、*上記参照ください。エアポンプ、エアーチューブ、エアストーン、水中ポンプ、砂(底面フィルター用)、砂(2段目の飼育用)、カワニナ、水替え用ホース、上陸時に登っていくための網、葉など
上陸して土繭を作り、蛹になったらいよいよ成虫です。
これからも新しく情報を更新していきます。参考にしてくださればと思います。
コメント
うちの家は山裾にあるので、少し歩けば川にホタルが飛んでいます。そろそろ飛び始める季節なので楽しみです。ホタルは毒を持っている、成虫は水しか飲まないという豆知識、知りませんでした・・・!
こんばんは、蛍の情報を読んで頂きありがとうございます。
蛍が飛び交う場所に住んでいるなんて、羨ましいです。
とても綺麗でしょうね。
拙い文章ですが、これからもっとわかりやすくご紹介できる様に
がんばっていきます。
近々、蛍を観に行ってきます。その時の画像を載せれたらと思います。
コメントありがとうございました。